美術品一覧
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「清乾隆壺」について
清王朝の最盛期を象徴する美術品「清乾隆壺」は、文化・芸術的にも大きな発展を遂げた時代である清王朝の陶器です。
「大清乾隆年製」の壺とも言い換えられますが、これは清王朝の最盛期を創出した第6代皇帝である乾隆帝が在世時に作られた陶磁器の裏に入れられた銘であり、意味合いとしては「大清(清の)乾隆年製(乾隆帝在世時につくられた)壺」となります。
文化・芸術でも黄金期となる乾隆帝の時代を受け、同時期の日本でも古伊万里など、影響を受けた陶磁器もあり、中国のみならず日本でも大変価値のある品物となっております。
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野々村 仁清作品
京焼の新境地を拓いた巨匠この作品を作った野々村 仁清(ののむら にんせい)、または通称清右衛門(せいえもん)は、江戸時代前期に活躍した、ろくろの技術の高さや華やかで美しい上絵付けで人気を博した京焼の陶工です。
弟子には尾形乾山などがおり、仁清釉と称される茶器類を残すなど日本文化の発展に貢献した人物でもあります。
また、仁清の作品は、国宝・重要文化財として指定されているものもあり、
「京焼」は低温で焼成し、鉛を含む釉薬を使ったデザインが多様であることが特徴の焼き物ですが、仁清の作品は立体的な器面を大いに活かし、金彩・銀彩を使った華麗な絵画的表現の作品を多く残しております。
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仁清作 耳付水指
あざみ野水指
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本阿弥空中作 信楽空中茶碗
本阿弥光甫(ほんあみ こうほ)は、江戸前期に刀剣の鑑定の他、茶道・書画・陶芸・彫刻など幅広く活躍した工芸家です。
光甫の作品は、ろくろを用いず手作りで成形した低温焼成の軟質陶器である楽焼(らくやき)の他、信楽焼を得意としていました。
信楽焼は、滋賀県甲賀郡信楽地方で作られる自然降灰釉の質感と、淡い柿色のような色、薪の灰に埋まる部分の黒色のグラデーションが独特の味わいを見せる陶器になります。
近江国甲賀郡信楽の土で焼いた光甫作品は空中信楽(くうちゅうしがらき)と呼ばれています。
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薩摩官窯香炉
徳川13代家定の廉中となった天璋院所持の品「薩摩官窯」とは、薩摩藩(鹿児島県内)で焼かれる陶磁器のことを指し、「官窯」は御用窯という言い方もされます。
薩摩焼には華美な絵付けが印象的な白薩摩(白もん)、大衆用の日用雑器として焼かれていた黒薩摩(黒もん)がありますが、本品は徳川13代家定の廉中であり、薩摩藩島津家の一門の生まれである天璋院(篤姫)が所持していた白薩摩になります。
1867年のパリ万博の出店で好評を得た後、絵付けされている「京薩摩」、横浜から輸出されるため「横浜薩摩」などと呼ばれたり、欧米にて「SATSUMA」と呼ばれ、欧米の陶磁器に影響を与えるなど人気が高く影響力のある陶磁器となっております。